【新着情報】2024.11.11

富士山の大規模噴火に備え「広域降灰予報」、気象庁が数年内に導入… 

予想量3段階明示案

 

富士山の大規模噴火で首都圏に大量の火山灰が降る事態に備え、気象庁は、広範囲・長時間の降灰を予測

する「広域降灰予報」を導入する方針を固めた。

富士山噴火では最大30センチ以上の火山灰が降り積もり、住宅倒壊や交通網のマヒといった深刻な被害

が出る恐れがあることから、予報により迅速な防災行動につなげるのが狙い。

来年度から予測システムの開発などを進め、数年後をメドに始める方針だ。

富士山は過去5600年間、平均して30年に1回程度噴火したと考えられているが、約300年前の

「宝永噴火」を最後に噴火していない。

政府が2020年に公表した富士山噴火による降灰の試算では、最悪の場合、火山灰が約3時間後に首都

圏に到達し、鉄道の運行が止まり、送電設備の不具合により広範囲で停電が起きる。

降灰が約2週間続くと、神奈川県や山梨県などで厚さ30センチ以上、都心でも同10センチ程度に達す

る。

除去が必要な火山灰は、東日本大震災の災害廃棄物量の約10倍にあたる最大約4・9億立方メートルに

上るとしている。

気象庁は、国内の火山が噴火した際、降灰の量やエリアを予測する「降灰予報」を出しているが、現行の

降灰量の区分は「1ミリ以上」「0・1~1ミリ」「0・1ミリ未満」で、数十センチに及ぶ降灰は想定して

いない。

予報期間も最大6時間先までとなっている。

新たに導入する広域降灰予報は、富士山などでの大規模噴火を想定。長時間にわたる降灰により、各地で

予想される降灰量を「30センチ以上」「3センチ以上」「微量以上」の3段階で示す方向で検討している。

同庁は来年度、「火山灰情報企画調整官」のポストを新設し、広域降灰予報の導入に向けた検討を加速させ

る。

富士山噴火による広域降灰対策については、政府の有識者検討会でも議論が進められており、年内にガイ

ドライン(指針)を取りまとめる予定。

 

◆宝永噴火=江戸時代中期の1707年(宝永4年)12月16日に始まった大規模噴火。

噴火は16日間にわたって断続的に続き、火山灰が上空の風で流されて江戸にも降り積もった。

火山灰などの総噴出量は17億立方メートルと推定されている。