災害時に起こる “トイレパニック”
極めて不衛生なトイレ事情 専門家は「災害関連死のリスク高まる」と指摘。
自宅で備えたい「携帯用トイレ」の枚数は?
阪神・淡路大震災から30年が経ちました。
この30年で全国で大きな地震が相次いで発生しました。
そして南海トラフ地震をはじめ各地で地震が起こるリスクが指摘されています。
1年前に起きた能登半島地震では、死者は災害関連死を含めると500人以上。被災地は、映像だけでは伝わりにくい過酷な現場でした。
地震発生直後に被災地を取材したRCC記者が、特に大変だったと感じたのが「トイレ」です。
今回は災害時の「トイレ事情」について考えます。
「当時は、10センチほどの雪が積もっていました。
シャワーや風呂にも入れませんでしたが、個人的に苦労したのは『水洗トイレが使えなかった』ことです」
2024年1月、震度6強の揺れを観測した石川県・珠洲市です。
珠洲市では、津波や液状化により広い範囲で断水。通常のトイレが使えませんでした。
袋に用を足す「災害用トイレ」に、被災者も困惑していました。
NPO法人・日本トイレ研究所が、全国の1000人以上に「自宅に備えている防災グッズ」を聞いたアンケート調査によると、最も多かったのが「飲料水」で58%。「トイレットペーパー」や「ウェットティッシュ」が4割超えでした。
一方、「災害用トイレ」の順位は、高くありません。
「下着」や「生理用品」と並び、全体の2割にとどまりました。
防災グッズを備えていない人も16%いました。
私たちが使う「水洗トイレ」は、大きな災害が起きた時は、高い確率で壊れてしまいます。それに気がつかず、みんなで使用すると、排せつ物がたまる一方です。
極めて不衛生なトイレ状態を「トイレパニック」といいます。
健康リスクや集団生活に大きく影響してくるといいます。
■“トイレパニック”で「災害関連死のリスク高まる」
「水を飲むことを控えがちになる。できるだけトイレに行かないように済ます。脱水やエコノミークラス症候群など、災害関連死につながる可能性が高まる」「トイレは唯一、1人になれる場所でもある。
イライラしたり、ルールを守らなかったり、ゴミを捨てたり、治安が悪化する」
自宅でできる「携帯トイレ」の取りつけ方。
「まずは、フタと便座を上げる45リットルほどのポリ袋をかぶせる。
携帯用トイレを取り付ければ、あとは交換するだけ。
災害時は混乱するため、事前に練習をしておく。水と食料品とセットで揃えておく」
においが漏れないよう袋をしばり、可燃ごみとして出します。
■備えに必要なのは「1日平均5回×家族の人数分×最低3日」
排泄する場所の選択肢を増やすことが大切と話します。
避難所のトイレを使っていけないことではありません
携帯トイレのメリットは、仮設用トイレは外にあるので、雨や雪の悪天候・夜は真っ暗です。特に女性や子どもは、一人で行くのは怖い。
そうしたなか、自宅にあれば安心して利用できます」
必要な枚数は「1日平均5回×家族の人数分×最低3日は揃えてほしい」と呼びかけています。
携帯用トイレのほか、準備しておくべき防災グッズをまとめました。
▽トイレットペーパー(家族分×4ロール)
▽停電を想定して、両手をフリーにできる照明
▽手をキレイに保つための消毒液
災害への備えについて、話し合ってみてください。