私たちの財産も生命も、築き上げてきた何もかもを焼き尽くす火事。
放火という悪質な犯罪で、一瞬にしてあなたの大切なものすべてを奪うことがあります。
その他、タバコ、てんぷら鍋の過熱、たき火、火あそびなど、様々なきっかけで火災は発生します。
《火災の基礎的な知識を身につけましょう。》
日本では、年間約5~6万件の火災が発生しています。その内の約6割が建物火災で、さらにその約6割が住宅火災となっています。
このほか、林野火災いわゆる山火事といわれるものや車両・船舶・航空機関係の火災などがあります。
またこれらの分類に含まれない空き地での火災、田畑、道路、河川敷、ごみ集積所などの火災もあります。
主な出火の原因は放火及び放火の疑い、たばこ、こんろ、たき火、火あそび、ストーブなどです。
建物火災では、年間約1,500人(平成19年中)の人が亡くなっています。
その死因の二大原因は、一酸化炭素中毒・窒息と火傷となっています。
また、住宅火災で亡くなった人を年齢別にみると、65歳以上の高齢者の占める割合が半数以上を占めています。
今後、さらに高齢化が進むことを考えると、住宅火災の発生と被害を低減するため、住宅防火対策が必要です。
【最近の火災の傾向について、平成24年のデータを用いて補足いたします。】
平成24年中、日本では、約4万4,000件の火災が発生しています。
これは、10年前(平成14年)の約70%となっています。そして、平成24年に発生した火災の約58%が建物火災で、
さらにその約55%が住宅火災となっています。
主な出火原因は、放火及び放火の疑い、たばこ、こんろ、たき火、ストーブ、電灯・電話等の配線などです。
建物火災では、約1,300人の方が亡くなっており、その死因の二大原因は、一酸化炭素中毒・窒息と火傷となっています。
住宅火災で亡くなった人を年齢別にみると、65歳以上の高齢者の占める割合が6割を超えており、これは5年連続です。
それでは、主な出火原因別の防火ポイントをみていきましょう。
放火は、その疑いのあるものを含めると、全火災の出火原因の約2割、約11,000件(平成19年中)を占めています。
【補足:平成22年中は9,551件です】
放火対策としては、次のことに注意しましょう。
・家のまわりに燃えやすいものを置かないようにしましょう。
・ゴミは収集日の決められた時間に指定場所に出しましょう。
・車やオートバイのカバーには、防炎製品をおすすめします。
・物置などには必ず鍵をかけておきましょう。
・不審者を寄せつけないよう、外灯をつけて、できるだけ明るくしましょう。
次に全火災の約1割、約5,700件(平成19年中)がタバコによるものです。【補足:平成22年中は4,475件です】
ふとんなどに落ちたタバコによって、数時間たってから燃え出すこともあります。
寝タバコやタバコの投げ捨てはやめましょう。
灰皿には、いつも水を入れておきましょう。
吸殻は、完全に消えたことを確認してこまめに捨てましょう。
こんろからの出火も、全火災の約1割、約6,000件(平成19年中)です。
【補足:平成22年中は4,694件です】
てんぷらを揚げているとき、電話がかかってきたり、不意な来客があってその場をはなれている間に油が過熱して発火することがあります。
てんぷらを揚げるときはその場を離れないようにし、離れるときは必ず火を消します。
できれば、てんぷら油過熱防止機能のついたこんろを使いましょう。
こんろの周囲には燃えやすいものを置かず、いつも整理整頓をしましょう。
たき火による火災は、全火災の約6%、約3,200件(平成19年中)です。
【補足:平成22年中は全火災の約5%、2,515件です】 風の強い日にはたき火はしないようにしましょう。
たき火をするときには、必ず消火用水を用意します。
その場を絶対に離れないようにします。また、絶対に子どもだけでたき火をさせてはいけません。
たき火が終わったら完全に消すようにしましょう。山火事の約4分の1は、たき火によるものです。
【補足:平成22年中は山火事の約3分の1がたき火によるものでした】
山火事は一旦火がでると消火しにくく、被害も大きくなることがあるので注意しましょう。
火あそびによる火災は全火災の約3%弱、約1,900件(平成19年中)あります。
【補足:平成22年中は全火災の約4%、1,678件です】 子どもに、マッチやライターで遊ばせてはいけません。
普段から火の怖さを徹底して教えましょう。
マッチやライターは子どもの手の届くところに置かないようにします。
例え、花火でも必ず大人が付き添い、消火用水の用意を忘れずに行います。
ストーブによる火災は、全火災の約3%弱、約1,600件(平成19年中)です。
【補足:平成22年中は全火災の約3%、1,469件です】 冬は要注意のストーブ。衣類など燃えやすいものを近づけないことが一番です。
ストーブをカーテンや家具に近づけたり、ストーブで洗濯物を乾かしたりしてはいけません。
また、ストーブの近くにスプレー缶を置くのも厳禁です。
給油は完全に火が消えたことを確認してから行います。できれば対震自動消火装置付きのものを使いましょう。
住宅における防火安全の向上を図るには、住宅用防災機器の取り付けや防炎品の使用が効果を発揮します。
火災の発生をより早く知るためには、住宅用火災警報機器の設置が効果的です。
住宅用火災警報機器は、煙や熱を感知して警報音で知らせる設備で煙式と熱式があります。
寝室や階段などには、煙式、キッチンやガレージには、熱式の設置が適しています。
また、住宅用火災警報器は、電池交換が不要で天井コンセント脱着式のものもあります。
その他、火災とガス漏れを検知する警報器もあります。ぜひとも設置したいものの一つです。
(平成16年の消防法改正により、戸建住宅や共同住宅(自動火災報知設備等が設置されているものを除く。)について、
住宅用火災警報器等の設置が義務づけられました。
(新築住宅は平成18年6月1日から、既存住宅は市町村条例で定める日から適用となります))
【補足:既存住宅についても、各市町村の条例に基づき、平成23年6月1日までにすべての市町村で義務化されています】
次に、消火器を設置しましょう。
誰にでも使いやすい住宅用消火器があります。
この消火器はメンテナンスが不要で、5年から8年使えるすぐれものです。
その他、エアゾール式簡易消火具も簡単に消火できる器具です。
消火器には、性能を表す適応表示マークがついています。
消火器のタイプを選定して、備えておきましょう。
その際、消火器の使用期限も注意してください。
熱又は煙を感知し、自動で火災を消火する住宅用の自動消火設備があります。
水道管に直結させて水で消火する住宅用スプリンクラー設備や消火薬剤を放出して消火する住宅用自動消火装置があります。
直接火に触れても容易に燃え上がらず、着火しても燃え広がりにくい防炎品を使用しましょう。
見た目や手ざわりは普通のものと変わりなく、肌に触れたり、幼児がなめたりしたときの安全もチェックされています。
防炎品には、カーテン、衣類、寝具などがあります。
これまで説明しました警報機器、消火器具、防炎品等には住宅防火安心マークがついています。
住宅防火安心マークは、火災時の早期発見や消火・拡大防止など住宅防火対策等に効果的な機能を持った機器や製品につけられているマークです。
住宅防火安心マークの対象品は、次の品目があります。
さきほど紹介しました住宅用火災警報器にも住宅防火安心マークがついています。
住宅用消火器はカラフルで、てんぷら油火災やストーブ火災などに適用し、初期消火にもっとも威力を発揮します。
エアゾール式簡易消火具は、操作が簡単なスプレー式です。
住宅用自動消火装置は、火災が発生したことを感じると、ノズルから自動的に消火用の薬剤を出して火災を消火します。
住宅用スプリンクラー設備は、火災が発生したことを感じると、ノズルから自動的に水道水を出して消火します。
てんぷら油消火用簡易装置は、台所での油火災を自動感知すると、消火薬剤を放出して消火し、同時に警報を発信して火災を知らせます。
「火災発見」・「消火」・「警報」の1台3役を果たすものもあります。
シーツ、枕カバーなどの防炎寝具類は、 炎に触れても燃え広がらず、自己消火性があります。
エプロンなどの防炎衣服類は、炎に対して、強い抵抗力を持っているため、炎と接した部分は焦げますが、着火しにくく、燃え上がることはありません。
カーテンなどの防炎カーテン・布製ブラインドは、炎を遮断したり、火災の広がりを防ぎます。
カーペットなどの防炎じゅうたんなどは、着火しにくく、火災の広がりを防ぐために大きな効果を発揮します。
以上の住宅防火安心マークのついた器具のほか、地震や誤って倒してしまったときに、自動的に消火する「対震自動消火装置付き」器具や機器内部の温度が規定以上になったとき、自動的に消火する「過熱防止装置」などが装備されたガストーブなどの安全暖房器具があります。
また、使用中に火が消えた場合、ガスの供給を自動的に止める「立ち消え安全装置」や「てんぷら油過熱防止装置」などが付いたガスこんろなどの安全調理器具があります。安全装置」や「安全機能」を装備した器具を使用しましょう。
最後に、万が一火が出たときには、どのように行動すればよいのでしょうか?
初期消火、119番通報、避難、バケツリレーなどについては、「いざという時役立つ知識コース」でより詳しく学びましょう
出典:消防庁ホームページ(http://www.fdma.go.jp/)
「記載の各調査結果」(消防庁)(当該ページのURL)を加工して作成